時代には k a m‘i’の音であった。<私の註 この i につけたクオーテーション・マーク(‘i’)は、アイにウムラウトをつけたつもりのものです。ウムラウトを表示する技術が分からないので代用しました。> これはカミ(上)kami とは別音であるから、上にいますものがカミ(神)であるという語源説は成立しがたいことはすでに述べた。そこでカミという語の別形があるか否かをみると、カムカラ(神の品格)、カムサビ(神々しい様子である)、カムナガラ(神の意向のまま)、カムガカリ(神憑り)など、カムという
形がある。独立語としてはkam‘i’であり、複合語の場合には kamu である。...(中略)...
...これらの事実は母音‘i’が、古代日本語の基本的な母音でないことを示すもので、‘ i ’は、何らかの事情で後に発達した母音であることを想像させる。 kamu ~kam‘i’の関係に類似するのは、「身(む)」という語と「身(み)」との関係である。
「身実(むざね)」「身体(むくろ)=身幹(むくろ)」など「身(む)」という語があるが、これと「身(み)」との関係は、mu~m‘i’の対応で、まさにkamu ~kam‘i’の対応と同様である。「身」については、おそらく mu が古形で、m‘i ’がその変化形である。その変化は、mu の後ろに、独立名詞形を作る接尾語 i が加わって mui→m‘i’という変化が生じたものと思われる。
それと同様に、カミ(神)のkam‘i’という形は、おそらく古形kamu の下に、独立する名詞を作る接尾語 i が加わって、kamui→