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アイヌ語と日本語は兄弟(同系)の言語か、それとも他人か-92

「アイヌ語と日本語は他人である!」ってホントなの❓(その5)

 借用関係の推定が困難になる要因の一つに、借用による語彙の意味の「ずれ」の問題がある。借用する側が、どういう形でその
語彙を取り入れ、利用したのかについて充分な注意を払わないと正しい理解には行き着かないということである。例を挙げて説明しよう。
 「昆布」という語がある。あの海藻の「コンブ」である。アイヌ語では「 konpu(コンプ)」と言う。この「昆布」という語彙は
借用語だと思われるが、オリジナルは何語だったのであろうか。「何を言ってるんだ!昆布という語そのものが、そもそも漢語ではないか。中国語の昆布を日本人やアイヌが借用したに決まってるじゃないか!」と単純に考えてはいけないのである。
 四千年の歴史を持つ中国が、文字すら持たないアイヌ語から言葉を借用などする筈が無いではないか。昆布という語は、元から
中国に有ったものなのだから、借用など問題にならぬという主張は、一見するとまともに聞こえるのだが、本当にそうだろうか。
 日本語を含め、オリジナルの語彙は、どの言語の、どの「こんぶ」なのかを検証することとしたい。まずは、日本語であるが、
大和言葉では、コンブなどの海藻の類(たぐい)を一般的に「め」と総称した。昆布のことは「ヒロメ(広布)」といい、他の海藻に「ワカメ」とか「アラメ」などがある。ご推察のとおり、この「め」は、二重母音の「萌え=もエ=芽」と同根の語である。海中に萌え広がるものというのが原意であろう。もちろん、昆布のオリジナルではあり得ない。次に、中国語(漢語)であるが、確かに「昆布」という語が中国語辞典に載っている。「昆布kunbu(クンプ)」という語は、辞典の解説によれば「中国医薬としての」と
いう条件が付いているのであって、漢方薬としての語彙なのである。それならば、海の中の海藻としての「コンブ」を中国語では
何と言うのかというと、それは「海帯(ハイタイ)」というのである。
 元々中国では、海藻を食用にするという習慣がなかったものと思われ、また、北海を主な棲息分布域とするコンブは、中国人にとって、それのみを意味する語彙は必要がなかったのである。(アイヌ民族から❓)交易で手に入れた海藻のコンブを、乾燥させて作ったのが漢方薬の「昆布」なのだが、何故、中国ではその薬材に「昆」と言う字と「布」という字を当てたのか。そこに借用関係の秘密が隠されているのだ。「昆 kun」は、「(子ども等の)数が多い」を原意とし、「布 bu 」は「布(ぬの)」の意味のほか「散在する・バラバラに散らばる・広がる」の意味がある。これを総合的に判断すると、昆 kun 子どもが殖えるように、と言う嘉字(めでたい言葉)と布 bu (海中に)萌え広がるものという語義を合成して「薬効のあるもの」の字に当てたのだと考えられる。
 結論を言えば、アイヌ語 konpu がオリジナルの語彙であって、中国語も大和言葉もこれを借用したのだと考えるのが最も論理に叶うものであると私は考える。ただ、私自身の力量不足から、他のアイヌ語の語彙と関連付けて、そのオリジナルである由縁を
立証できないのが残念なことではある。ただ、中国語も日本語も、「勢いをもって(海中に)萌え広がる」という観念を語意に含む
ことから、アイヌ語の原語彙もこの語義を表していただろうことだけは断言できるのである。  (次回につづく)

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by atteruy21 | 2017-11-24 13:32 | Trackback(2) | Comments(0)