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もっと知ろう‼アイヌのことーその3(アイヌ・日本の民俗とアイヌ語ー11)

アイヌ・日本の民俗とアイヌ語(その11)  通巻第173号

接頭辞「 i -...」(=それ~する者)についてーその2

 昔、私が子どもの頃、プロレスのテレビ中継で日本中が沸(わ)いていた。絶大な人気を誇った英雄『力道山(りきどうざん)』の好敵手(こうてきしゅ=ライバル)で、『デストロイヤー』という実力派の悪役覆面レスラーがいた。正式名は極めて長いもので、
..「The Intelligent Sensational Magnificent Destroyer (あの・知的で・世間をアッと言わせる・華麗なる・殺し屋)」という
人を喰った命名だった。略称で「ザ・デストロイヤー」と呼ばれたが、「あの、有名な殺し屋」といった意味の強意語法である。
 同じくプロレスの話で、長く世界王者として君臨した「ルー・テーズ」という名レスラーがいたが、無敵のこの王者をいったい
誰が破れるのかということで「ストップ・ザ・テーズ」(= あのテーズを止めろ‼)」のフレーズが世界のレスラーたちの合言葉に
なったと言われている。
 
 実はアイヌ語にも、これと同様の表現法がある。「石狩川(いしかりがわ)」という川が北海道にある。北海道随一の大河として知らぬものはないだろう。「小学生でもあるまいし、わざわざ振り仮名を付けることもないじゃないか!」と腹を立てないで頂きたい。それなりの訳が有っての事なのである。「いしかり」という語は、アイヌ語で構成された、アイヌ語で分析できる合成語で
アイヌ語を学び始めた初級者にも分かりやすい「なりたち」をしているのである。私にも分析できた訳だから。
...それは「イ・シ・カリ」と分析できる。「 i - si - kari = それ(あの)・わが身・に還る・者 」という意味になる。「わが身に還る」とはどういう意味か。右に流れたかと思うと、また左に向きを変え、元の所に戻ってくる。そして、左に下って行くと
今度は右に行く手を指す。川は生き物だとアイヌは考えたと前に述べたことは憶えておられるだろう。活きた川は右に左にと蛇行して流れて行く。「それ・蛇行する・者」が「石狩川」の命名の由来である。

 ...「ちょっと待ったア!」と声が掛かるだろう。それは承知の上である。「それ(あの)・蛇行する」までは分かった。けれど、
「~する者」の「者」は、いったい何処から飛び出して来たのかと。鋭い指摘だが、やはり心配には及ばないのである。
 実はデストロイヤーの話を持ち出したのは、この疑問に予(あらかじ)め備えていたのである。「The Destroyer 」の「the」と
「...er 」の二つの部分で結び付いて「あの(それ)~する者」という一語を創るのだが、アイヌ語の「 i - 」は、この一語で
「それ、~する者」の二語を表すのである。敢えて言えば、特に名付けるとすれば、「再帰名詞」となろうか。蛇行してわが身に還って来る「い・し・かり」のように。  (次回につづく)
  

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by atteruy21 | 2018-02-13 11:01 | Trackback | Comments(0)