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もっと知ろう‼アイヌのことーその3(アイヌ・日本の民俗とアイヌ語ー42)

通巻第204号  『モノ』という言葉についてーその16

 私の説明の歩調が早過ぎるようだ。かな表記の特殊性をもう少し理解して頂いてからでないと、「べえ=兵衛」の説明も空回りして、皆さんの頭の上を素通りしてしまうかも知れないので、皆さんにもう少しだけ補足説明をしておきたい。
 
 例えば「ん」の無表記の問題、例えば「濁音・半濁音・清音」を区別しない問題、これと矛盾するのだが、にも関わらず濁音を避ける傾向など、例えば、きゃ、きゅ、きょなどの拗音(ようおん)を嫌う癖など、種々の日本語表記の現代人からは理解しにくい特殊性が有る。私だけの勝手な思い込みによるものと見られては私も心外なので、辞典に載っている言葉を取り上げて、皆さんの理解の助けにして頂こう。

 例えば、『冠者(クワジャ)』という言葉がある。あの古典芸能で登場する「太郎冠者」の「冠者」である。この「冠者」という語を古語辞典で引くと、【冠者】(名)「クワンジャ」の撥音(はつおん)「ん」の無表記から。「クワザ」とも   ①元服して冠をつけた少年。②六位で無冠の人。③若い家来または召使。...とある。
 アイヌ語とも共通し繋がる日本語の発音の癖や傾向は、挙げれば切りがないので一例だけの紹介に止めるが、古い言葉の意味やその変遷の過程を追究して行く上では、常にそれに関心を向け、留意しておくことが是非とも必要なのである。
 
 さて、その上で、「兵衛」という言葉の成立の経過を見て、「べ・べえ」という語彙の秘密に迫って行こう。
...「兵衛」と言うのは、仮名では「ひゃうゑ」と書き、近代の発音でこそ「ひょうえ」と読むのだが、古くは「ぴゃんうぇ」と聞こえるような発音の言葉であったらしいことは既に述べた。この「兵衛」を古語辞典で引くと、
【兵衛】(名) ①「兵衛府」の略。②「兵衛府」の衛士(ゑじ)。...とある。そこで次に「衛士」を引いてみると、
【衛士】(名)諸国の軍団から交代で上京し、「衛門府」「衛士府」に配されて内裏(だいり)・諸門を警護した兵士。...とある。
 やはり、巡りめぐって「兵衛府」とは何か、から見てみないと分からないだろう。「兵衛府」と言うのは、...
【兵衛府】(名)「六衛府(ろくゑふ)」の一つ。内裏の警護にあたり、儀式のときは儀杖を持って立ち、行幸(ぎょうこう)に供奉(ぐぶ)した武官の役所。左右二府に分かれていた。

 要は、御所や帝を衛る「衛兵」のことであり、その役所のことを「衛府」や「衛門」と言い、左右の二つに分かれていたことから「左兵衛」とか「右衛門」と言った武士の名が生まれてくる訳である。  (次回につづく)

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by atteruy21 | 2018-03-16 14:01 | Trackback(2) | Comments(0)