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もっと知ろう‼アイヌのことーその3(アイヌ・日本の民俗とアイヌ語ー89)

通巻第251号 「たま」という言葉についてーその36

 魂(たましい)の座を求めて、アイヌ語の「 ラマチ ram-at-i 」を分析して、心臓や脳に対するアイヌ民族の伝統的な考え方を知った。さらに、アイヌ語の「ピイェ piye 」という語彙が、脳の同義語として特殊な意味合いを獲得して行く経過を推察させる事実の掘り起こしに取り組み、一定の成果を得たとも私は考えている。
 脳や心臓に対する考察はここまでとし、もう一度「魂 ramati 」に戻り、そこから考えを進めよう。アイヌ語の「 ramati 」は「 ram-at-i 心臓が・掛かっている・所」、それが頭脳であると述べている。その頭脳が魂の座だと繋がって行くわけである。

 ならば、大和言葉では、魂というのはどのような存在か。アイヌの古人たちが、魂の所在を脳という物質的実在に求め、自分たちの肉体の一部であるその脳の働きこそが、人間に魂(意識)をもたらすのだと考えた様子があるのに対し、大和の人々は「魂」を肉体の働きと結び付ける観念は無く、魂というものは、人間には如何ともし難い、遥か遠い神や霊魂の世界の住人だと考えたようである。この物質的実在から遊離し、靄(もや)の彼方に霞む不可思議な存在に魂と名を付けたのである。この「魂」については、既に「『たま』という言葉についてーその12」の項でこう述べた所である。

...大和言葉では、魂は、「霊魂」という意味と特定の考え方、更にはその考え方をもつ人をも指した。その実際の用例として、大和魂(やまとだましい)という言葉や「三つ子の魂百まで」という諺(ことわざ)を示してこう述べた。
「三つ子の魂百まで」とは、三人の子供の霊魂を云々(うんぬん)しているのではない。三歳児の時までに形成された人の考え方(性格・人格)というのは一生変わらずに続くものだ、という意味である。物質的実在から遊離しての、言わば、倒立した観念論的人間論だが、そうした限界を超えて真実に迫っている。

 大和言葉の「魂」の意義で注目に価(あたい)するのは、宗教的世界・霊魂の意味の部分ではなく、後段の「特定の考え方」や
「考え方を持つ人」の部分である。人の性格や人格を含め、人間の考え(意識 conscious-ness )を魂と捉えている部分である。

 人間の個別の意識を、換言すれば個々の人間を、一つの独立した人格として捉える基盤が魂という語彙に込められている点に
注意を向けて頂きたいのである。
 次回では、民俗学の大家である柳田国男の「後狩詞記(のちのかりことばのき)」に出てくる言葉に焦点を当てて、魂(たま)という言葉の意味を追究してみたい。  (次回につづく)

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by atteruy21 | 2018-05-08 13:20 | Trackback(4) | Comments(0)