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もっと知ろう‼アイヌのことーその3(アイヌ・日本の民俗とアイヌ語ー111)

通巻第273号 「たま」という言葉についてーその58

 沖縄の宇宙像の第二章「死に関する考察」の第7に、『死者を食べるということ』という項目がある。いま暫く傾聴頂きたい。
...現代の都会では、「食べる」ということは食堂やレストラン、あるいは食材を求める場としての商店やスーパーと結びついているが、もともと食材は自然界の中に求めるものであり、生きているものを殺すという殺生の現場であった。古代から人類が抱いてきた死の観念は、魂の肉体からの離脱であったから、殺されたものの魂も肉体から離れその場にいることになる。
 かつて人々は、動物も植物も、肉体から離脱した魂は人間同様に言葉を理解し、その姿はことのほか美しい男女であると考えていた。こうした魂はしばしば人の姿で夢に現れたりする。
 生き物の生命を奪う場合に重要なことは、感謝をこめて肉をいただき魂を心から神の国へ送り返してやることであった。これは明らかに葬儀であり、葬儀は食と深く結びついた行為だったのである。

...「食」が葬儀と一体になっている姿は、アイヌ民族のイヨマンテにも見事に現れている。イヨマンテとは通常は熊送りのことであるが、殺した熊をカムイとして迎え、丁重に魂を神の国に送り、土産として残された肉を感謝して食べることである。
 人間に仕留められ殺された熊は、丁寧に解体され、頭部は毛皮とともに神窓から入れられ、囲炉裏の上座に置かれる。魂は頭部に座ると考えられているから、このことは、神が神窓から入って囲炉裏の火の神の所に招かれて訪れたことを意味している。熊の神はそこで一晩中踊りや歌で接待され、感謝され、楽しんだあげく、夜明けとともに神窓の外の祭壇から神の国へ送られる。こうして残された肉は、村人へのお土産として大事に食べられたのである。

...アイヌの人々は動物や魚も、食されるものは心をこめて神の国に送るのが原則であった。食とは霊を送ることであり、葬儀であった。残された肉を腐らせたり粗末に扱ったりすることは罪であり、生命を与えてくださった神に対する非礼であると考えられた。死んだものは食べなければ神の国へ旅立てないという考えは、人間と動物の違いはあるものの、池間島でユタが、「ダビワーをして皆で食べないと、死んだ人が神にならない」という考え方に結びつく。...中略...

...イヨマンテにおける熊は、殺されるときに喜んで自分の肉を差し出すと言われている。カムイである熊にとって、自分の身を差し出すのは「喜び」なのだ。同時に、食べる方の人間も「好きだから」食べる。食べる方と食べられる方は、ある種の宗教的な愛情によって結ばれていると言える。愛するもののために命を捧げることは、愛情のもっとも高い表現だからである。
  (次回につづく)

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by atteruy21 | 2018-05-30 12:07 | Trackback(4) | Comments(0)