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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその46

習俗の中に見る「縄文」ー13 (通巻第350号)
 地震(なゐ)という言葉の読み方で、「ゐ」の字のアルファベット表記に「 wi 」を用いた。この「ゐ」の字の発音というのは、通常の場合は文字の通り「ウィ」である。ところが、地震の意味を表す「なゐ」という言葉の中では、「な・うぃ」とならずに「な・いぇ」ないし「な・ゆ」と発音が変化するのである。「ゐ」という文字の摩訶(まか)不思議な性質がこの変化を引き起こす訳(わけ)なのだが、その不思議さの成り立ちの秘密を、これから一緒に解明してみようというのである。

...「エビ・フリャー」という言葉をご存じだろうか。名古屋弁で「海老フライ」のことである。「フライ」が何故「フリャー」になるのか。実は、古い日本語の二重母音の性質にその発音の変形の秘密が隠されているのである。古い日本語にふんだんに有った二重母音の、そのまた音韻転倒の為せる業(わざ)なのである。具体的に説明しよう。外来語のフライの発音を、古代日本語の二重母音の音韻転倒で説明しようというのは、そもそも無理があるのだが、分かりやすさの点から已(や)む無くするものであり、譬話だと思って聞いて頂きたい。
 音の転倒のことは、前にアイヌ語の例で説明した。「窓」に当たるアイヌ語は「 puray プライ 」ないし「 puyar プヤラ 」と言うのだが、「 r 」と「 y 」が「 a 」を軸にして見事に左右対称に転倒している。この関係を意識して、フライ→フリャーの変化の経過を想像して頂きたい。

...フライ hurai →フリア huria → フリャー hurya 。これが変化・転倒の経過であろうと私は考えている。単純化して言えば「 a → i 」の発音の順が「 i → a 」の順に転倒しただけの話なのである。
 
...そこで、いよいよ「ゐ」の出番なのだが、何度も言うように「ゐ」という音(おん)は単母音ではなく、微妙な二重母音なのである。「ゐ」をアルファベット表記すれば「 wi 」となる。しかしこの「ゐ」は、己(おのれ)自身の二重母音の内部で異なる二重母音に転倒するのである。具体的に説明しよう。「 w-i 」が「 i-w 」に逆転するのである。「ウィ」が「イウ = ユ 」に変化するという訳である。
 地震「なゐ」と言う語に言及しよう。早い理解のため、二重母音の w を u に置き換えることを許して頂きたい。音韻の転倒により「ナ・ウィ na-wi 」が「ナ・イウ = な・ゆ na-iu(yu)」(萎ゆ)と、語形が変わったのである。
「Sir nayu シンナユ=大地が萎える」と言う大和言葉の古い表現は、このようにして成立するのである。
 なお、「萎ゆ」と言う言葉に「ナイェ」と言う発音を対置する考え方がある。それが次の課題である。秘密を解くキーワードに
「饐(す)える」と言う言葉を取り上げよう。古語は「饐ゆ」と言うのだが、これがまた変なのである。 (次回につづく)

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by atteruy21 | 2018-08-17 11:44 | Trackback(4) | Comments(0)