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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその49

生産活動に見る縄文と弥生ー2 (通巻第353号)

 狩猟や採集に関わるアイヌ語で、大和言葉の「狩(か)る」に近い音(おん)をもつ語彙を提示すると前回に述べたところである。
ただ、その前に大和言葉の紹介で、よく古語辞典を見て頂くことが多いのだが、辞典の記述の仕方で意味が分からない方もおられるかも知れないと言うことに、今頃になって気がついたので、遅ればせながら簡単な説明をしておきたい。

...か・る【狩る】【猟る】(他ラ四){ら・り・る・る・れ・れ}
 ▼(他ラ四)というのは、「他動詞で、ラ行の、四段活用をする言葉だよ ! 」という意味である。日本語の特性で、動詞が他の言葉に繋がるときに、語幹(狩るで言えば「カ」に相当)に付く語尾の形が変化することを言うのはご存じだろう。「狩る」では、その語尾が「ら・り・る・れ」の四音が語幹の「カ(狩)」に付いて次の言葉に連なるという訳である。
活用の態様は、動詞が表す状態に応じて未然、連用、終止、連体、已然(いぜん)、命令の六態様が有る。小学校の高学年の国語で習っておられると思うが、「連用」だとか「連体」などの意味まで丁寧に教える先生はまず居なかったと思うので、改めて説明して置こう。
 「連用」というのは、「用言に連なる」という意味である。では、その用言というのはと言うと...。これも国語辞典で確認をして置こう。「用言」...国文法で、詞に属し、活用する語。動詞・形容詞・形容動詞の類。↔体言  とある。続いて、その「体言」を見てみると、「体言」 概念を表し、活用がない語。名詞・代名詞・数詞の類。▽また、副詞・接続詞を含める場合もある。↔用言 ...とある。

 古語「狩る」の活用の具体形を見てみよう。(未然)狩ら・ず (連用)狩り・たり (終止)狩・る (連体)狩る・とき 
(已然)狩れ・ども (命令)狩・れ  ...これが、ラ行の四段活用である。

...実際の説明は次回に回すしかなくなってしまったが、狩猟・採集に関わる大和言葉の「狩る」に通じるアイヌ語と言うのは、もうお察しの通り、「 kar 」という語彙である。「 kar 」は勿論、狩猟・採集をするという意味に限定されず、広く「する」、「為す」、「作る」までをも意味する。正にアイヌ語の基本語中の基本語彙である。だが、それも、この狩猟採集を意味する語が中核となって初めて、「 kar 」という意味の繋がった語彙の一大コロニーが形成されたものなのである。

 ... 「 kar 」という語は、...(次回につづく)

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by atteruy21 | 2018-08-20 10:59 | Trackback | Comments(0)