人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその61

生産活動に見る縄文と弥生ー14 (通巻第365号)
 所属形の長形の基本の型、古い形が「 -he 」であったのではないかと見る第一の理由は、前回述べたように、その「 he 」という音が、「 pe 」 や「へ」という「何かにくっついたもの」「付属したもの」を意味することにある。その形の歴史的沿革を示していると見るからである。だが、この「 -he 」が基本になっているという考えは、別の角度からも証明されるのである。
...この事では、樺太方言の助力を頂こう。実は、私の今までの説明では抜け落ちていた部分が有るのである。今まで例に挙げた語彙は、すべて開音節の母音終わりの語だけを並べていたのであるが、アイヌ語には、閉音節の子音終わりの語が極めて多いのはご承知の通りである。閉音節の名詞の場合、「 h- 」の前後にはどんな母音が来るのかということが問題になる訳である。

...前に登場いただいた村崎恭子先生の樺太アイヌ語「入門会話」の一文を引用させて頂こう。例によって、村崎先生には何のご了承も受けていない、無断引用である。
▽ 名詞の所属形  すべての名詞は、所属形になることができる。所属形は、名詞の語幹( n )の前後に人称所属接辞が接続して形成される。 (...中略...)
(1)短母音で終る n は、同じ母音を h の後に付ける。
  ona (父) → onaha (誰かの父)  pise (胃) →pisehe (誰かの胃)  unu (母) →unuhu (誰かの母)
(2)長母音 -aa ,-ee ,-oo で終る n は、同じ母音を h の後に付ける。
  kaa (糸) →kaaha (何かの糸)  kee (脂) →keehe (何かの脂)  poo (子) →pooho (誰かの子)
(3)長母音 -ii で終る n は、 -iyehe を付ける。
  pii (種) →piyehe (何かの種)  sii (便) →siyehe (何かの便)  ←この「便」は、大便・小便の便である(私の註) (4)長母音 -uu で終る n は、 -uwehe となる。
  puu (倉) →puwehe (何かの倉)  ruu (道) →ruwehe (何かの道)
(5) -w ,-y で終る n は、 -ehe を付ける。
  haw (声) →hawehe (誰かの声)   ay (矢) →ayehe (誰かの矢)  (※語頭の声門閉鎖音の表記は省略した)

 未だ説明の途中だが、紙数の関係も有るので少し説明を加えたい。3番から5番の母音の変化に注目願いたいという事である。
倉 puu は puuhu とならずに puwehe と母音が変わり、種 pii はpiihi とならずに piyehe となる。子音終わりの声 haw は、
子音 W の直前の母音の a を採らずに、つまり hawaha とならずに hawehe となるのは、とりもなおさず、所属形基本型が元々は
「e-he 」なのだと言うことを示す証左(しょうさ=証拠)であると私は考えている。  (次回につづく)

Tracked from roblox id at 2022-06-16 10:01
タイトル : roblox id
アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその61 : アイヌのこともっと知りたい... more
Tracked from roblox music.. at 2022-06-16 10:20
タイトル : roblox music codes 2022
アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその61 : アイヌのこともっと知りたい... more
名前
URL
削除用パスワード
by atteruy21 | 2018-09-01 12:39 | Trackback(2) | Comments(0)