...それは、 -h と発音される子音で終る色々な名詞が、所属形を形成するに当たって、 p や t や k や r に七色の語尾変化をするのではなくて、逆に七色の違う子音の語尾をもつ様々な名詞が、「 h 」という単一の語尾をもつ概念形に収斂(しゅうれん=縮む)ということなのである。説明の便宜のため、英語などでいう原形(これは動詞についての概念だが、便宜的に名詞にも利用する)の言葉を使わせて頂く。
... itah の原形は、 itak なのであり、kah (形、姿)の原形は kat なのである。しかし、樺太方言においては、その原形(概念形)を概念形で発音するときは子音の別を表さずに語尾を h 音で発音し、具体的にものを指す段階になって、つまり所属形を口にする段階で初めて、原音の k や t やその他の子音が、音として表面に躍り出て来るのである。 (次回につづく)