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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその165

生産活動に見る縄文と弥生ー118 (通巻第469号)

 チタラペ(蓙・ござ)という語やチカラカラペ(刺繍衣)という言葉の、語形と意味の相関と比較を通して、タラ( tar )という音が「手間をかける(て作る)」という概念を含むものであることが分かった。
...このような観念を身に付けた「 tar 」という音が、何らかの「効果を狙って行う合目的行為」という、より高次の概念を獲得して行くのは、必然の道筋であった。「 tar 」は、独立語としては成立しなかったものの、複合語彙の中にあって極めて重要な言語要素となったのである。

▽ 「 tar 」は元々、長く延びた、繋がったものという意味が有ったようで、それが「縄」という語彙に結び付いたのであろう。
「長く延びた・長い」を「 tar-ne 縄状・である→ tan-ne 長い 」とアイヌ語では表現するのである。 その長く延びて何らかの特質を帯びるという感覚が、「継続して何かを行う」・「何かの状態(或いは行為)が継続する」を導く訳である。更に、何らかの行為が続けられると言うことは、とりもなおさず、それが何らかの狙い・目的を持った「合目的行為」である事を意味するまでに至るのは、必然であろう。

▼ 刺繍にしても、蓙にしても、丹念に念入りに針を差し、糸を組み込んで心を込めて作る。うまずたゆまず、繰り返し繰り返し 地道に目立たずに励む仕事、その作業によって初めて美しい作品が産み出されるのだ。 tar や karkar という語彙が、これらの美しい作品を作る大切な仕事に充てられるのは、ある意味で必然であると私は思う。

 「 tar 」は、「 tap 」に繋がる、それを証明しようと大見得(おおみえ)を切った。その道筋はアイヌ語の中に見出だされる。
それは、樺太アイヌ語の中にその解決の糸口が潜んでいると私は考える。

○ 前に樺太方言の子音語尾の表記の、厳密には発音の特徴について述べた事がある。述べたなどと偉そうに言っても、村崎恭子先生の「樺太アイヌ語・入門編」の一部を紹介しただけの事だが、その話である。
...ceh 《魚》 cepihi 《誰かの魚》: cih 《舟》 cipihi 《誰かの舟》 : kah 《皮》 kapuhu 《何かの皮》
kah 《形、姿》 katuhu 《何かの形、姿》 : koh 《跡》 kocihi (kotihi) 《何かの跡》
 sih 《目》 sikihi 《何かの目》 :  itah 《言葉》 itakihi 《誰かの言葉》...以下、次回に。
  (次回につづく)

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by atteruy21 | 2018-12-17 18:33 | Trackback(2) | Comments(0)