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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその194

生産活動に見る縄文と弥生ー147 (通巻第498号)
 アイヌ語でも日本語でも、子音というものは、語尾であれ語中であれ、消失してしまったり他の子音に変わったりするものだということが分かった。二つの言語においてそれぞれ、かたやアイヌ語には北海道方言と樺太方言という二大方言があり、もう一方の日本語にも大和言葉と沖縄方言という二大方言があり、少しずつ変わった発展を遂げている。私が面白いと思うのは、子音の扱いの仕方で、古くからの子音を残す対応と、子音を変化させる対応とが、二つのそれぞれの言語内で、あたかも方言同士で話し合いでもしてそれを分担したかのような、そんな形で発展の方向が選択がされたように見える事である。

▽ 子音語尾の変化の有無の対照表
 《アイヌ語》
   樺太方言   語尾の子音が H (ハ、フ、ホ)音に変化、収斂する。
   北海道方言  語尾の子音は、余り変化しない。
 《 日本語 》   
   沖縄方言   語尾の子音が N (イーン、ウーン)音に変化、収斂する。
   大和方言   語尾の子音は、余り変化しない。
 ✳注意 上記の対照表は、原則としてこのようになるということで、例外を許さない絶対的なものではない。
     また、大和言葉においては子音そのものが消去される方向で変化したことに留意することが必要。

▼ この原則を常に心の隅に置きながら、本題のアイヌ語の「 tar 」から「 tan 」への音韻変化の道程を、ブログをご覧いただいている皆さんと一緒に辿(たど)る旅に出ようと思う。皆さん、旅支度(たびじたく)はもう済んでおいでだろうか。

...最終目的地の「 tap 生産する 」に至るまでには、かなり長い道のりがある。まずは、出発地の「 tar 」の、いや、更にその一歩手前の「 ta 」という言葉の意味を再確認して、旅の草鞋(わらじ)の紐を締め直し、しっかり足許を固めておく事が大切だろう。

◎ すべては「 ta 打つ 」という言葉から始まる。「 ta 」の原義は「 siri (大地・自然)を打つ」に在り、その大地、自然から何かを取り出すという意味に発展したのだと前に述べたのは覚えておいでだろう。その「 ta 」に「 ar = 無かった物が新たに現れる )」の語を抱合して「 tar 」という新語が出来たのではないかと...。以下、次回に。
   (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-01-15 11:01 | Trackback | Comments(0)