人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその215

生産活動に見る縄文と弥生ー168 (通巻第519号)
 既視感のある語尾子音のエヌ( n )からピー( p )への交替について、知里真志保(ちり・ましほ)博士の名著、「アイヌ語入門」の
記述を横目に見ながら、真実へ向かう入口の扉を、ギーッと推し開けてみよう。同著の「67: 数による動詞の語形変化」の一節である。ただ、知里氏はこの子音の交替を「数の問題による変化」と捉えており、既にその段階で第一ボタンをかけ違えてしまっているのである。だから、言わば反面教師として、注意深く知里説を聴いて頂く必要が有るのだ。
 そうは言っても、そこはさすがに知里博士は鋭い分析眼の持ち主で、対立軸の所在は正確に把握しておられるので、氏の見解が数の概念に囚われた、言わば逆立ちした見方なのだという点さえキチンと押さえていれば、大きな誤りに導かれる心配はまず無いのである。その逆立ちしている点さえ踏まえれば、逆に、我々に多くの正しい観点を提供してくれること請け合いなのである。

▽ (3)単数の形が -n ,複数の形が -p で終わっているものがある。
 aynu san .「人が浜へ出て来た」。 aynu sap . 「人々が浜へ出て来た」。この種のものは、次に掲げる7組14個の動詞がその全部である。
 ahun (〔外から内へ〕入る , 入ってくる , 入って行く )        ー  ahup ( 同 , 複数 )
 asin (〔内から外へ〕出る , 出てくる , 出て行く )         ー  asip ( 同 , 複数 )
 ran (〔高い所から低い所へ〕降りる , 降りてくる , 降りて行く )   ー  rap ( 同 , 複数 )
 rikin (〔低い所から高い所へ〕登る , 登って行く , 登ってくる )   ー  rikip ( 同 , 複数 )
 san (〔山奥から〕浜へ出る , 出てくる , 出て行く )         ー  sap ( 同 , 複数 )
    (〔後ろから〕前へ出る , 出てくる , 出て行く )         ー     ( 同 , 複数 )
 makan (〔浜から〕山奥へ行く , 来る 〔前から〕後ろへ行く , 来る ) ー  makap ( 同 , 複数 )
 yan (〔海から〕陸へ上がる , 上がってくる , 上がって行く )     ー  yap ( 同 , 複数 )
(注意 ! )
 これらの動詞の意味について , ちょっと注意しておきたい。名詞の中に ,次のような對立が見いだされる。
① aw (内)    ー   soy (外)
② ra (低い所)  ー   rik (高い所)
③ sa (前 , 濱)  ー    mak (後 , 奥地)                                    
④ rep (沖)    ー   ya (陸)
 知里博士の舌鋒は、このあとダイナミックな展開を見せるのだが、それは次回以降のお楽しみということで...
   (次回につづく)

Tracked from id code for .. at 2022-06-18 00:18
タイトル : id code for roblox
アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその215 : アイヌのこともっと知りたい... more
名前
URL
削除用パスワード
by atteruy21 | 2019-02-05 10:33 | Trackback(1) | Comments(0)