▼ さて、たった一つの子音の変化と言えども、訳(わけ)もなく起こるものでは決してない。ここでは、事の発端の「 tar 」から
「 tan 」を経て「 tap 」に至る旅の中間駅の「 tan 」を跳ばして、超特急で「 tar → tap 」の旅と洒落込もう。兄弟の言語である大和言葉の助けを借りて tar , tap の真実に迫りたいと思う。
◎ tar という音を含む語彙で、大和言葉に「たり」という助動詞がある。またまた、何の脈絡もない言葉の語呂合わせゲームを始めるのか、などと勝手に腹を立てないで頂きたい。このように取り上げるからには、其れなりの根拠が有っての事なのである。
...先ず、古語辞典で「たり」の項の出だしの部分を見て頂こう。
たり【助動ラ変型】[接続助詞「て」にラ変動詞「有り」が付いた「てあり」の転]...と、この語が形成される謂れの説明から始まる。詳しくアイヌ語の tar と対比させて説明する余裕は無いので、ここではアイヌ語の tar が、「 ta + ar = 何かに作用して、今ここに在る 」という構成になっているのだとだけ言って置こう。