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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその310

縄文語ってホントに有ったの❓ーその20 (通巻第614号)
 揺らすという観念が、湯を沸かすという観念と、どう結び付くのかなど見当もつかないと言うのが大方の人の受け止めだろう。
確かに、一見しただけでは何の共通性も無い。その問題に直接アタックする前に、アイヌ語の「 suye-suye = 揺らす 」の語感をきちんと把握し、感じ取って置くことが是非とも必要だと私は思う。このアイヌ語の音(おん)がオノマトペア(擬音)の世界では、大和言葉といとも簡単に、直接に繋がっていることが、誰にでもすぐ理解できるからである。

▽ アイヌ語の suye-suye は、例えば犬が尻尾を振るなどの状況を表す。尻尾のふさふさした毛を、犬がユサユサと左右に振っている姿を思い浮かべて欲しい。その振る音にどんな音をあなたは充てるだろうか。無理して「スイェ・スイェ」と聞こえるなどと妙に私に気をつかって貰う必要はない。前にも述べたが、擬音と言うのは、アイヌ語や日本語にとっては言語活動の極めて重要な部分を成すもので、おろそかに扱っては正しい言葉の理解には到達できないのである。
...もう一つ、別の事柄で、大和言葉の「そよそよ」というオノマトペや、そこから派生した「戦(そよ)ぐ」という動詞がある。これもアイヌ語の「 suye-suye = 揺らす」という言葉に直接に繋がっているのである。前に、秋の夕暮れの野原で芒(ススキ)の穂が風に揺れる場面を取り上げた事がある。ススキの穂が、まるで我々を異界に指し招いているようだなどと述べたことを覚えておられる方も有るだろう。「そよぐ」という語を国語辞典で引いてみよう。

▼ そよぐ【戦ぐ】(風に吹かれて)そよそよと音を立てる。わずかに揺れ動く。例文:「風に戦ぐ葦(あし)」
...揺らす、揺れ動くという観念は、アイヌ語に於いては「 suye-suye 」と表現され、大和言葉にあっては「そよそよ」と聞こえたり「ユサユサ」という形で現れたりするのである。二つの異なる言語にあって、その意味する所も、耳にする音も、ほぼ同じであることに十分な注意が求められるのである。

◎ 少し回り道をしたが、揺らす・揺れるという感覚は、アイヌ語でも日本語でも、極めて良く似た音韻の流れの中で語られるという事実に、恐らく皆さんも新鮮な驚きを感じて頂いたと思う。
 さてそこで、いよいよ「 suye 」という言葉の二つの異なる意味合いの発生に就いて、「揺らす」と「湯を沸かす」の繋がりの秘密を解き明かす段階に来た訳である。
...二つの観念のどちらが元で、それが別のもう一項の概念を産んだのか、それについて考えよう。
 私は「(陶器に水を入れ、それを炉にかけて)湯を沸かす」が元になった意味合いであろうと考える。そうすると、いったい何が揺れるのか。これが謎解きの出発点である。また、その揺れるという事態が、何を我々人間にプレゼントしてくれるのか、そこ迄考えを進めながら謎解きを進めなければならない。

...素焼きの土器を炉にかけて、何が揺れるのか... (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-05-11 11:57 | Trackback(2) | Comments(0)