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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその379

縄文語ってホントに有ったの❓ーその89 (通巻第683号)

 「あわ・ゆき(泡雪・沫雪)」と「あは・ゆき(淡雪)」という言葉が、発音上は全く同じに発音されても、実は意味の異なる別の語彙なのだとする古語辞典の解説に、何処か違和感を持たれた方はおられただろうか。その方は感性の鋭い方である。
...実は、古語辞典の執筆・編纂者に混乱が見られるのである。具体的に問題の所在を明かそう。

▽ 古語辞典の解説
 あわゆき(泡雪・沫雪)...泡のように消えやすい雪
 あはゆき(淡雪).........春の消えやすい雪
...ご覧のように、「消えやすい雪」という意味が、「あわゆき」でも「あはゆき」でも核となる意味だと言うのだ。だが、これでは肝心の「あわ」と「あは」の違いが何処に在るのかが全く分からない。異なる表記がされる必然性、別語である事の証明には何らなっていないのだ。

▼ その違いを、充てられた漢字自身に、自らの出自(しゅつじ)を語って貰うことにしよう。「泡沫」という言葉は、大和言葉で訓読(くによみ)すれば、それは「うたかた」となるのである。...ここで「アレッ、何処かで聞いたことがあるぞ ! 」と気付いた方は慧眼(けいがん)の持ち主である。
...鴨長明「方丈記」
 淀みに浮かぶ泡沫(うたかた)は、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例(ためし)なし
《現代語訳》(川の流れの)よどみに浮かぶあわは、一方では消え、一方ではあらわれて、いつまでも(そのままの姿で)とどまっている例は無い。

◎ シャボン玉の歌を何故私が取り上げたのか、上の方丈記の一節と照らし合わせて良く考えて頂きたい。
 ...「あわ・泡沫」の語の中核をなす意味は、「消えやすい」に在るのではなく、「生まれることが即、壊れることである」という、その儚(はかな)さに在るのである。野口雨情の、生まれて直ぐに亡くなった、シャボン玉が風に吹かれたように、儚く消え去った愛し子の魂のように、そう言う感覚が「あわ・ awa 」の本来の意味なのである。

☆ 著書「沖縄の宇宙観」で松居友氏が述べた、生と死の境界、生まれることが即(すなわ)ち死することでもあるという「青籠り = アヲグムイ」の世界、そこから人が生まれ、死んで又、戻って行く母の胎内。子宮は「 aw アヲ 」と呼ばれる世界である。

   (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-07-19 13:39 | Trackback | Comments(0)