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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその403

縄文語のかけらーその22 (通巻第707号)
 アイヌ語で言う「 nispa ニシパ 」は、元来、尊敬すべき男性を意味した。似た意味を持つ言葉に「 ekasi エカシ 」というのも有るが、こちらの方は「長老」と訳される場合が多く、やはり老人の意味合いが強い。エカシの原義は男性の先祖や祖父であるから、今に生きる壮年の男性に対してはエカシは使いにくい呼称となる。ニシパは、若い男性に対しても用いられる。
 例えば、江戸幕府や明治政府の対アイヌ政策に時に抗議までしてアイヌ民族の立場と権利を擁護しようと努力した松浦武四郎という若い役人に対し、アイヌの人々は、コタンの古老の人も含め武四郎を「ニシパ」と呼んで尊敬の意を表したと言う。

▽ 「 nispa 」は、民話などの中では「長者(金持ち)殿」といった趣で登場することも有るが、本来の意味は、人の上に立つべき尊敬に値する人物を言ったのである。それは、この言葉のルーツが、カムイの許(もと)に、カムイのおわします天上に人々を導く宗教的な役割を持った人を指したからであるに他ならない。
...「 nispa ニシパ 」という言葉の語の構成は、「 nis - pa 」だろうと思われる。既に、「 nis 」の方は「天(てん)」と解明済みであるから、残りの「 pa 」の方の意味を明らかにしてやれば良いと言うことになる。答は既に示してあるので、その厳密で正しい意味が皆さんの胃の腑と言うか、胸にストンと落ちればいい訳である。

▼ 「天の頭(かしら)」などと言っても、具体的なイメージは浮かびにくいだろう。前に、星空を通って天界に向かう舟の、その水先案内人なのだと、沖縄の神女たちの役割の説明をした。我ながら上手い説明をしたと独りで自己満足に浸っている次第だが、アイヌのニシパもこれと同様なのである。

◎ ただ、その陶酔も何時までも続かないので、ニシパの方も、「水先案内人」並(な)みの洒落(しゃれ)た喩えをしてやらなければ、浮かばれないだろう。
...同じく「頭(あたま・かしら)」を意味するアイヌ語に「 sapa サパ 」という基本語彙がある。「ニシパ」の具体的イメージに繋がる面白い服飾品と言うか、装飾品か、祈りの場の正装の一部だから、呪具と言った方が良いのかも知れない。

☆ アイヌのエカシ達が、カムイ・ノミ(神への祈り)を厳かに行うとき、頭に着ける「 sapa-un-pe サパンペ 」という一種の冠のようなものがある。
...そのサパンペ(頭・に嵌まっている・もの)という冠をご覧になったことがおありだろうか。恐らく古くは木の小枝などを束ね折り曲げて、魚のような或いは鳥の胴体のような形を作り、それを頭にかぶるのだが、その構造の額の所に何かの頭のような形をした突起が有るのである。私には、それは鳥の顔、空飛ぶ鳥の頭部に見える。
...以下、次回に。
     (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-08-12 13:49 | Trackback(2) | Comments(0)