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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその413

縄文語のかけらーその32 (通巻第717号)
 ピカッと光るという観念に、もう少し拘(こだわ)ってみたい。古代の列島人の感性に一歩でも近付きたいからである。ただし、言葉の音に少し変化を加え、幅広い語彙を検討の対象にしたいと思う。
...前に日本語とアイヌ語の血縁の有無について論じた時だったか、大和言葉の「父親」にあたる言葉は、「た行」の中で大きく語の形を変化させて来たことについて述べた事を覚えておられるだろうか。父という言葉は、「たた」、「ちち」と来て、そして「つつ」が無くて、更に「てて」、「とと」と母音を代えて様々に呼ばれて来たのだ。要は、大和言葉に於いては、母音の違いは単語の形成において、決定的に重要な要素という訳ではないと言うことである。

▽ 実は、アイヌ語に於いても、この事は言えると私は考えている訳で、これから述べることは今のところ私だけの独自の見解な訳だが、それはいつもの事だから敢えて言うまでも無かったか。とにかく、「ピカ」に代えて「パク」等という音(おん)をまな板の上に載せて、果たして旨い料理になるか、騙されたと思って一先ず聴いて頂きたいのである。
...ほんのつい先だって、「稲妻」の噺をした。稲の実る頃に雷が多いと言うことで、雷は稲を育てる力を持った神、つまり稲の夫(つま)なのであると...。

▼ アイヌ語では稲妻の事を「 imeru それ・光るもの 」と言うのだが、ここで言う「 i = それ 」は「神」のことを言う。神の光と言う訳である。大和言葉の「雷(かみなり)」は、神鳴り(かみなり」という語の構成になっており、アイヌ語とは若干視点がずれているが、言葉を造る考え方は共通である。
...ところで、「ピカッ」に代わる語彙は何時出てくるのだ、と質問が出そうなので、その答を言おう。やはりアイヌ語のオノマトペアに、その音が登場するのだ。

◎ アイヌのユカラや神謡に「サケへ」という神の繰返し言葉がある。稲妻の噺なので、雷神( Kanna kamuy )が登場する際に自ら何の神であるかを示す、自己紹介の繰返し言葉を紹介しよう。
...雷神は、「 hum pak pak ゴロ・ピカ・ピカ 」と雷の音を立て、光る様子を体で表しながら登場する訳である。大和言葉の「ピカ」という音は、ここでは「 pak パク 」と母音を代えて現れる。この「 pak パク 」という擬音は、特別の動詞を作る語彙の構成要素となるのだが、それは次回で述べることにしよう。

☆ サケへの例をもう一つだけ紹介しよう。火の神の自己紹介のサケへである。
...ape-meru ko-yan ko-yan  火の光・あがる・あがる ...紹介した上記の二つのサケへは、アイヌ神謡集の解説文として知里真志保氏が訳したものである。
    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-08-22 12:02 | Trackback(2) | Comments(0)