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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその415

縄文語のかけらーその34 (通巻第719号)
「 hum pak pak (ゴロ・ピカ・ピカ) 」と辺りを揺るがす落雷を、アイヌの先人たちはカムイが怒って人を罰しようとしているのだと考えた。その神の怒り、それへの畏敬の念が、人間(アイヌ)たちに果たしてどんな観念と言葉をもたらしたか。言葉を換えて言えば、「 pak ・ピカッ 」という擬音がどんな形で言葉の中に現れるのかという問題である。幾つかの「 pak 」を語中に含む語彙がある。なお、母音を交代させた「 pek 」もこの仲間に加えたい。

▽ 「 pak 」...罰する。これは、語中に含むと言うより語そのものである。特に説明は要しまい。
 ...「 pak-asnu 」罰、罰する。...萱野茂氏は同氏のアイヌ語辞典でこのように訳をつける。
 ...「 pak-asnu 」パカシヌ【動詞2】~を罰する。~に教える。...中川裕氏はアイヌ語辞典(千歳方言)の中で、そう訳す。
 
▼ ...同じ「 pakasnu 」という言葉でも、幾分か意味合いが異なり、語の雰囲気が僅かに違うのである。ここは矢張、語の成り立ち、生い立ちを再構成して、正確な語意を抽(ひ)き出す作業が必要になるのだろう。
 この「 pakasnu 」という語は、「 pak + -asnu 」という二つの語素の組合せから成ると考えるのが普通だろう。この二つの語の要素がそれぞれ何を意味し、その組合せ・複合からどんな新たな意味が創出されるのか。それがこの pakasnu という語彙の正しい訳語になるに違いない。

◎ 「 pak 」...これは「罰する」、何か悪さをした者に、力のある上位者が痛み・苦しみを与えることに他ならない。
 ...「 -asnu 」...これは接尾辞であり、微妙な意味合いがあるので中川裕氏の辞典のお世話になろう。
 アシヌ -asnu 【接尾辞】~が(たくさんあって)良い ; トウマシヌ tum-asnu 「力がある」← tum 「力」
 トウマシヌ tumasnu 【動詞1】力がある。力が強い。体力がある。...などと解説されている。

☆ これだけでは、未だピンと来ない方が多いかも知れない。少し補足の説明をしよう。接尾辞の「 -asnu 」は、先行する動詞や形容詞の表す行為や状態の程度が大きく又は多くなることによって、何らかの好ましい状態が生まれる事を意味するのである。
...例えば tumasnu の例で言えば、 tum と言うのは「内側の」というのが原義であるが、その内側と言うのは、体の内側という意味であって、内側から出てくる体の力や元気の事を言うのである。日本語でも、「元気を出せや ‼」等というが、あの元気である。だから、アイヌ語辞典でトウマシヌに「力がある・力が強い・体力がある」と訳が付されるのは、確かに正しいのだが、更に「元気になる」だとか「元気である」などが加わると万全な訳だと思うのだが...。

★ 従って、「 pak-asnu 」の訳(やく)は、罰して、その事によって相手が良い状態になる事を含む概念である必要が有るという事である。ただ体罰を加えるのでなく、教え諭(さと)すのが...以下、次回に。

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by atteruy21 | 2019-08-24 11:23 | Trackback(4) | Comments(0)