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アイヌ語と日本語の中に残る縄文語ーその419

縄文語のかけらーその38 (通巻第723号)

 ウパシクマと言う言葉は、伝説や由来譚を語ると言う意味を表し、古い事柄に特化された意味だけでなく、「共に・伝え合う・事柄」と解釈することも可能ではないかと、前回に私は主張した。専ら伝説・昔話などに限定せず、生活に必要なあらゆる情報を伝え合うと言うのがウパシクマの原義ではなかったか、...と。それが同時に取り上げた ueneusar と同様、四方山噺や世間話をすると言う意味である。

▽ 情報を伝え合うことが即ち、「教える」ことにも繋がって行くと言う訳だ。だが、 upaskuma の何処に「情報を伝え合う」などという意味が有るのかと言う話になると、やはりもう一つ納得の行く説明が、言葉の解析が必要となる。
...「 pas 」という音(おん)と言葉に重大な秘密が隠されているのである。

▼ アイヌ語で「 pas 」と言えば、普通は「走る・疾(はし)る」を意味するとされる。しかし、「 pas 」にはそれに止まらないより重要な意味が有るのだ。

◎ 「 pas-kur パシクル ・烏」と言うアイヌ語をご存じだろうか。それはカラスを意味するのだが、語源的には、大切な「使命を帯びて走るお方」を意味するのである。
...世界の多くの民族が、人間の願いを天界に伝える者として、空飛ぶ鳥にその役割を認める観念を育てた。鳥の中でも取り分け烏は頭が良く、人の言葉を素早く記憶して、それを繰り返すことが出来たから、単にオウムのように特定の言葉のみを真似るだけでなく、簡単な語の組み合わせならば、文章すら即時に覚え、間違えずに話すことが出来たのである。

☆ アイヌ民族は、カラスのこの能力を熟知していたから、戦の際に簡単な言葉、例えば「敵、来た」などの言葉を記憶させ烏を他の場所にいる味方の軍勢への伝令として使ったのは、良く知られている。

...敵軍の動静と言う極めて重要な情報を、空を飛んでいち早く味方に伝える者、伝令の神 paskur 、カラスという言葉は、こうして成立した。

   (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-08-29 19:49 | Trackback(2) | Comments(0)