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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその432

縄文語のかけらーその51 (通巻第736号)
 集英社文庫「清川妙の萬葉集・第二章《挽歌》・愛児への挽歌」(続き)

(現代語訳)...世の中の人が珍重して欲しがる七種の宝も何になろう。私にとっては、古日こそ最高の宝であった。
 私たち夫婦の間に生まれ出た、白珠(しらたま=真珠)のようなかわいい子、わが子の古日は、
 明けの明星の輝く朝には、床の辺りを離れず、立っていても座っていても、一緒に遊び戯れ、
 宵の明星の輝く夕方になれば、さあ寝ようと手を引いて、あどけなく、こう言った。
  「お父さんもお母さんも、ぼくのそばを離れないで。ぼく、真ん中に寝るんだ。」

 ...いつ、一人前に成長するだろう。良くも悪(あ)しくも、その様子を見届けようと、大船のように頼みにしていると、
 思いもかけず、横からの大風が激しく吹き付けて来たので、...つまり、古日が急病にかかったので、
 もう、どうして良いか分からず、慌(あわ)てふためき、白栲(しろたえ)の襷(たすき)をかけ、
 真澄み(ますみ)の鏡を手に持ち、天の神、地の神に、お心のままにと、ただおろおろとお祈りするばかりであった。
 ...しかし、ほんの束の間(つかのま)も良いことは無く、次第次第に顔の様子が変わっていき、
 毎朝言っていたような言葉も言わなくなり、とうとう命は絶えてしまった。

 ...飛び上がったり、地団駄(じだんだ)を踏んで嘆いたり、うつ伏せになったり空を仰いだり、
 胸をうち叩いたりして悲しみ、掌(たなごころ=手のひら)の中にしっかりと握っていた我が最高の宝、
 古日(ふるひ)を、行方(ゆくえ)も分からぬ所へ、うち飛ばしてしまった。
 ...こんな理不尽(りふじん)な、こんな残酷なことが有ろうか。これが世間(よのなか)の道というものなのか。

▽ 非常に難しい言葉や、意味不明の言葉もある歌なので、私(清川妙)の気持ちをかなり入れ込んで解釈してみた。
...この歌、はじめから“大船の 思ひ頼むに”までは、古日のいかにもかわいらしい様子が活写されていて、団欒(だんらん)の
風景が、絵のように浮かんでくる。...以下、次回に。

▼ このブログを書いている私も、歳をとってから、ようやくに可愛い孫の二人の男の子を得た。つい、孫の顔と重ね合わせて、
古日(ふるひ)の姿を思い浮かべると、恥ずかしながら、いつも洟(はなみず)と涙に咽(むせ)ぶのだ。

◎ この長歌には、二首の反歌がある。実は、そこにこの長歌を取り上げた理由が有るのだ。次回にそれを取り上げよう。
    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-09-11 10:14 | Trackback | Comments(0)