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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその514

縄文語のかけらーその133 (通巻第818号)
 武藏という地名の中心になる「蔵」という言葉、漢字の原初の語義は「山奥」である。これは揺るがない。しかし武蔵が山奥の地であると言うことだけをこの地名は言っているのだろうか。中国語には、「蔵」の字には二通りの読み方が有り、元々の意味は山奥であったとしても、意味が広がったもう一つの重要な語義が有ったのである。

▽ 蔵(ツアング・ザング)には「山奥の、孤立した」の意味から発展した「しまいこむ、取って置く」という意味や、「何者かに囲まれ覆われて見えなくなる」といった新たな語意が生まれて居たのである。
...日本語で「蔵(くら)」と言えば、それは「何か大切な物を人の眼に見えない所へ仕舞って置く」所を意味する。

▼ 武藏の地は、日本の地名として名付けられた「蔵(さし)」の読み方は、最後の四番目の項目の「何者かに覆われた~」という文脈で語られ、「蔵」の字も用いられた。そのように私は推測している。
...「何者かに覆われた」と言うが、その「何者か」というのは、いったい何者だと言うのか。
 私は、それは「 mun ムン = 草木 」であると考える。草や木に覆われたジャングル地帯、それが武藏の原意であると...。

...そこで注意深いブログ読者、語源分析に慣れ始めた読者の皆さんなら、「む・さし(ざし)」の地に宛字をするにしても、その漢字の、中国語の「蔵 cang ,zang 」の音は、音韻としては如何にも大和言葉の「サシ」と隔(へだ)たっているではないかと言う疑問を持たれたのではないだろうか。武藏の「武」の字の解析の問題は暫く措(お)くとして、先ず、大和言葉の「サシ(ザシ)」の発音と中国語の「蔵 ツアング・ザング」の間の、音の乖離(かいり)の秘密を突き止める事から始めよう。

◎ 以前にこのブログで「サ行の音」の秘密について述べた事がある。今で言う「サ行の音=サシスセソは、上古(奈良時代以前)の時代には「ツア、シ、ツ、セ、ソ」と発音されて居たと言う事実である。つまり、上古の大和言葉では「ツア、シ、ツ、セ、ソ」の行と「しゃ、し、しゅ、しぇ、しょ」の行が存在し、それが時代を経て「サ、シ、ス、セ、ソ」のサ行に統合、収斂(しゅうれん)されたと言うことである。言葉の発音の歴史と言うものは、我々の固定観念を粉々に粉砕するほどの破壊力を持つものである。

☆ サ行の音の読み方で参考になる記述を紹介しよう。大野晋博士の「日本語をさかのぼる」の記事である。
...J.ロドリゲスの『日本大文典』の中に各地の方言についての記述がある。その中に関東の方言についても言及がある。その二、三を書き抜いてみよう。
○三河から日本の涯に至るまでの「東」の地方では、一般に物言ひが荒く...中略 ○盛んに助詞「べい」を使ふ...中略。
○ xe (シェ)の音節は囁くように se (セ)又は ce (セ)に発音される。例えば xecai (世界=しぇかい)の代わりにCekai(せかい)と言ひ...以下、省略。    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-12-02 11:39 | Trackback | Comments(0)