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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその543

縄文語のかけらーその162 (通巻第847号)
 手児名は海辺の村で海女(あま)として暮らしていたのではないか。年老いた両親と一緒の生活だったのか、少なくとも幼い弟や妹がおり、手児名の働きがその家を支えていたのではないか。何故、そう思うのか。それには根拠が有るのである。

▽ 萬葉に出てくる真間の手児名の暮らしには、一つのキー・ワードが有る。それは、「働く」という重い意味をもった言葉である。手児名は、彼女の日常は、恐らく海に潜って魚を追い、海底の藻を集める暮らしに明け暮れたという事である。また、両親や弟妹たちの用を賄(まかな)う水汲みの仕事も大変だった。

▼ 萬葉集に歌われる手児名の姿は、この二つの仕事を通しての彼女の人柄を伝えるものであった事は偶然ではない。手児名は、水汲み一つとっても疎(おろそ)かにしなかった。「水汲みの路(アイヌ語で言えば petaru ペタル)」が、踏み均されて平らになる程に毎日、何度も何度も家と泉の間を往復した。海に潜っての仕事の上の、更なる家事であった。年端も行かぬ若い娘にとって、それは殊の外(ことのほか)の重労働であっただろう。だが、彼女はそれを苦にする様子は見せなかったようだ。時を超え後の世の大和の歌人が感動して歌に詠(よ)んだのだから。

◎ 「手児名」という名に「働き者」の義を私は与える。アイヌ語を加工したような変な複合語であり、私の想定する「縄文語」の語彙である。奇想天外の語源論であるが、毎度毎度の、いつもの事なので、騙されたと覚悟して、まあ聴いて頂きたい。それは現代のアイヌ語の言葉から、アイヌ語の「働く」という言葉からマジックが始まる。

☆ アイヌ語に「 monrayke モンライケ 」と言う言葉がある。これは「働く」という意味になるのだが、この言葉の成立・出来上がり方の由来は次のようになると考えられている。
...mon-rayke ← mon (手)+ rayke (を殺す) =「手を殺す」= 「仕事する」

★ 仕事をすると言うことは、手をとられて他の仕事は出来なくなる、と言う発想のようだ。一方、大和言葉の発想では、恐らく此方(こちら)の方が縄文人の観念を受け継ぐ正統の発想だろうが、「働く」と言う観念を引き出す枕詞のフレーズがある。
...「身を粉(こ)にして...」という語句である。このあと直ぐに「働く」と続くのである。此処に言う「身を粉にする」と言うのは、身をどうすると言っているのか。アイヌの先人は働いて手を殺したのだが、大和の人々は自らの手ならぬ体(からだ)を殺して働いたと言うのであろうか。次回に詳しく分析しよう。...ちょっとだけヒントを教えよう。

...それは、アイヌ語の「 ko-ne 」と言う語に連なり、手児名( tek-kone-ya )と言う名にも繋がって行くのである。
    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2019-12-31 12:34 | Trackback(2) | Comments(0)