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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその556

縄文語のかけらーその175 (通巻第860号)
* 上つ毛野 安蘇のま麻(そ)むら かき抱(むだ)き 寝(ぬ)れど飽かぬを あどか我(あ)がせむ
...“上つ毛野 安蘇のま麻むら”までは、“かき抱き”をひきだす序である。それにしても、なんと実感のこもる適切な序であることか。“ま麻”とは、一かたまりの麻の束。若者は麻を植え育て、それを収穫する。麻の束を抱きかかえて運ぶことは、彼の日々の労働である。仕事をしながら、彼は思い出す。

...あいつって、この麻の束みたいに柔らかく、抱きしめるとグッと締まって、そして暖かい日向(ひなた)の匂いを夜まで残している。抱いて寝ても、未だまだ愛したりない。俺って、あいつを一体どこまで愛しているんだろう。
▽ “かきむだき”は、“かきいだき”の、“あどか”は、“などか”の訛(なま)りである。“かきむだき ぬれどあかぬを あどか あがせむ”。このちょっと舌たらずな感じの語感に、彼の青臭いまでの若さがよく出ている。純情一途、そして今、少し恋にのぼせきっている若者の表情が見えるようだ。

▼ 武蔵の国(東京都・神奈川県・埼玉県)の歌を見てみよう。
* 多摩川に さらす手作(てづく)り さらさらに 何(なに)ぞこの子の ここだ愛(かな)しき (萬葉・三三七三・巻十四)
...多摩川は、奥多摩を源とし、東京都と川崎市の間を流れて東京湾に入る川。“手作り”とは手織りの布のこと。
“さらさらに”は、更にさらに、何度でも新しくという意味。“ここだ”と言うのは、たくさん、甚だしくと言う意味である。

◎ 武蔵の国の男は、多摩川の清流に足を浸(ひた)し、手織りの布を晒(さら)すのである。布は、この地の産物として朝廷に献上するのだ。
...男は、さらさらと流れる水に、布をさらしながら恋人のことを思う。なんであの娘(こ)は、あんなに可愛いいんだろう。何度思ってもかわいい。かわいくって仕方が無い。...以下、省略。

☆ この若者が多摩の清流に晒していたのは、朝廷への献上品であった。武蔵の国の特産は麻や苧(を)を織って作った布であり、律令制の下で地方から中央政府に税の一種の「調(ちょう)」として納められた物だったのである。
...東京都に「調布(ちょうふ)」と言う地名がある。これは、麻の布を多く産し、それを中央に納めた土地を意味したのだろう。実は、“珠名娘子(たまな・をとめ)”が活躍した上総の国の名産も、やはり麻の布であった。

★ 租庸調(そ・よう・ちょう)と言う言葉は、どなたも小学校高学年か中学校で社会科で習った覚えが有るだろう。律令制度下の中央・地方政府の財政を支えた税制のことである。...以下、次回に。
    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2020-01-13 12:16 | Trackback(2) | Comments(0)