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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその588

縄文語のかけらーその207 (通巻第892号)

 知里幸惠「アイヌ神謡集・狐が自ら歌った謡」より(再掲)

...aynupitoutar usiyakko turpa kane iso-etapkar  iso-erimse ica-utar i-rura-utar utasatasa....
  人間たちが  みんな盛装して 海幸をば喜び舞い 海幸をば喜び躍り 肉を切る者、運ぶ者が 行き交って...
 *この場面は、アイヌの人々が神と崇(あが)めたシャチ(レプン・カムイ)が、人間たちの為に鯨を追い込んで浜に打ち上げ、
 それを村のアイヌたちが総出で盛装して浜に迎える所である。

▽ ここでは、「 iso 」という語は、「漁獲・収穫」と「漁獲の喜び」との双方の意味を表している。知里幸惠さんは、それを「海幸・うみさち」という優雅な言葉で表現されている。アイヌの喜びをよく捉えた美しい訳文だと私は思う。
...海幸(うみさち)と言うのは、あの「海幸彦・山幸彦」の物語に出てくる由緒ある言葉で、「うみ・さち」の言葉の「さち」の部分は、幸せ(しあわせ)という意味よりも、その幸せをもたらしてくれた生産用具、つまり、釣り針や糸、網などを意味する言葉だったと考えられている。

▼ つまり、「さち」というのは、生産活動に必要な道具、それも今まで見たことも無かったような優れた道具、「文明の利器」を指すのであって、日本神話に出てくる「海幸彦」と言う人物は、そうした漁猟の利器をたくさん持った、海洋民族ないし部族の王者だったと考えられる訳である。(以下、省略)

◎ ハングル(朝鮮語・韓国語)の「 sal (矢)」と言う言葉が、語尾を少し変えて「さつ・ sat(u )」の形で大和言葉に借用され、日本列島で用いられるようになった。その音韻の変化は、一定の法則に基づく必然の結果なのだろうか。隣り合う二つの民族なり人間集団が、互いの言葉を相手から取り入れる際に、自分たちの言語の発音体系に適合させて、つまり、自分たちにとって一番発音しやすいような形にして外来語を取り入れるのが普通である。
...ハングルと日本語の、例えば中国語を外来語として取り込む時の発音の癖を比較してみよう。

☆ 例として「日本」と「警察」と言う漢字の語を二つの民族はどういう発音で取り入れたか。
「警察」...〈ハングル〉 kyong-chal キョンチャル 〈日本語〉ケエサツ
「日本」...〈ハングル〉 il-bon イルボン   〈日本語〉ニッポン
...取り敢えず2語の比較だが、ハングルの「 l ・ル 」と日本語の「 tsu ・ツ( t ・ツ )」が照応関係に立つ事が分かる。
    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2020-02-14 17:46 | Trackback | Comments(0)