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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその627

縄文語のかけらーその246 (通巻第931号)
 「いさむ」という大和言葉に「禁(いさ)む」と振り漢字するだけでは、古い日本列島人の観念に肉薄することなど、到底のこと望むべくも無い。「いさむ」という語彙の持つ複雑かつ奇妙な意味の関連を、いま一歩足を踏み込んで追究しよう。

* 禁(いさ)むー諌(いさ)むー勇(いさ)む
...古代の日本列島では、人々は文字というものを持たなかった。同じ「いさむ・ isam 」と言う発音は、文字で書くと幾つかの意味に分岐するのだが、元はと言えば一つの大きな概念を表すもので、たった一つの意味を表す一つの語彙だったのである。

▽ 「禁む」と「勇む」は一つの意味 ! ...?
...現代の言語感覚から言えば、上記の2語は、その発音を同じくしても全く意味の異なる別の単語、つまり「同音異義語」だと考えるのが普通である。だが、実は古い大和言葉では、この二語は全く同じ意味を表す一つの語彙だと考えられていたのである。

▼ かたや「制止する」と、もう一方の「いきり立つ・逸(はや)る」を意味する語彙が、どうして一語だなどとほざけるのか。そう考えるのが常識と言うものだろう。しかし、上古の日本列島に於いては、この現代の「非常識」は論理に敵(かな)ったものとして常識の範囲に在ったのである。現代人の感覚では解(わか)りにくい関係が横たわっているので、分かり易い譬噺(たとえばなし)にして説明しよう。...例の、アイヌ語や(延いては)日本語にも見られる、あの「発想の双方向性」の問題である。

◎ 競馬場の、今や遅しと逸り立ってスタートを待つ競走馬と、その馬のいきり立つ思いを冷静に押さえ、静かにスタートのその瞬間を迎えようとする騎手の、その両者の緊張した関係が、対立しまた協調する、二つにして一つである「禁む↔勇む」の関係を現代の我々にも分からせてくれる、暗示してくれると私は思うのだ。

☆ 古語辞典で、この双方向性の検証をして頂こう。
* いさむ【勇む】(一)気が進む。はやり立つ。心が奮い立つ。
         (二)元気づける。励ます。慰める。
...「勇む」と言う言葉が、一語にして既に二つの側からの、場合によっては相(あい)反する立場や視点から語られていることに貴方は気付かれただろうか。
* いさむ ①【禁む】禁止する。
      ②【諌む】忠告する。意見する。諫言(かんげん)する。
★ 上記の「いさむ」は、ともに相手方を押し止(とど)める、制止するを表す。
    (次回につづく)

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by atteruy21 | 2020-03-25 11:10 | Trackback | Comments(0)