▼ アイヌ語の「 hat-tar 」は、どうやら「 hat 」と「 tar 」の二語を組み合わせて出来上がった言葉で、その二つの部分は、語源的には共に植物の「蔓(つる)」や「蔦(つた)」を意味するということ。そして、その具体的な「物」を表す語義から出発してより高次の抽象的な「繋げる」の意や、物をバラバラにならないように「纏(まと)め、繋ぎ止める」と言った観念的な意味合いを獲得して行ったらしい。...そう言う経過が、関連する語彙の分析と総合により明らかになり、浮き彫りになりつつあるのだ。
...「 hat to 」の語の内の「 hat 」の部分は、川の水や人間の行為の、【越えてはならぬ...】の部分を意味する。しからば、そうだとすれば、残りの「 to 」の部分は、これは何を意味するのか。法度が越えてはならぬ「 果つ=hat ・処=to 」を意味するのが分かっている訳だから、残る「 to 」の部分は必然の結果として【処(ところ)】を意味しなければならない。
★ しかし、どのアイヌ語辞典を見ても、古典のユカラ やウエペケレを読んでも、「 to = 処 」だ等とするものは一つも無い。