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アイヌ語と日本語の中に残る「縄文語」ーその1648

縄文語のかけらーその1268 (通巻第1970号)
 アイヌ語の「 saranip ・サラニプ」は袋状の容器で、木の皮や草の繊維を編んで作る。大切な物を包み込む形で容れ物として使うのである。
 🔺 このサラニプの特殊な使い方として、亡くなった人を送る時に、アイヌの先人はその遺体を容れる袋として用いたと思われるのである。このことは、遠く離れた沖縄の葬制からもその存在が推定されるのだが、此処で、その証拠となる風習を皆さんにも紹介して置こう。

▽ 松居友(まつい・とも)著 「沖縄の宇宙像」より引用(再掲)
 アイヌ・日本の民俗とアイヌ語ー110
 通巻第272号 「たま」という言葉についてー57 「死者のメタモルフォーゼ」
...墓を作る(ようになった)以前は、池間島(の葬制)は風葬であった。棺桶は無いから、アダンの葉を編んだもので筵(むしろ)を作り、竹を薄く切って編んだもので死体を包んで、「薪山のほう」すなわち島の北西のアダンの林の中に置いてきた。
 🔷 そのとき、「ウジャウ」と言って海に持っていく煙草入れ(たばこいれ)を、(遺体を)寝かす時の枕にしたと言う。大神島では大正時代までそのようにしていて、徳正(とくしょう)さんは実際に大神島の林で見たことがある(と言う)。

▼ 風葬は死者を自然に帰すこと ❗
...風葬の場合は、墓が無いから林の中に死体を放置して置いた訳(わけ)で、死体は風雨に晒(さら)されて自然に白骨化し、あとは骨を拾って瓶に入れ、自然窟の中に置いた。
 🔶 ウジャウを枕にしたのは、死者の魂が旅立つ時には海を渡ると考えたからである。
 (あの世に)旅立つまでは、死者はアダンの林か海岸線をさ迷っているが、旅立ったあとは(もう)この世には居ない。

◎ 遺体を大切に草や木の皮で編んだ袋に入れて...
...上記の風習は、つい最近まで沖縄で行われていたものである。ご覧になったように、沖縄の人々は死者の魂を自然に返そうと草や木の力を借りて死者を送ったのである。
 同じ縄文人の血を引いた(と私の考える)アイヌ民族と沖縄を含む大和の人々の末裔は、同じ死生観を持って居たとしても何ら不思議は無いわけである。
 ⭕川端の低木林の傍に死者の遺体を葬ったのは、遺体を木々や草の葉で編んだ袋に入れて自然の中に置いてきたのは、愛しい家族の魂が再びこの世を訪れることの出来るようにと言う、遺(のこ)された家族の切なる思いが込められていたのだと...。
 
☆ サラニプを被った木原の姥は、なぜ髪を振り乱すのか ❓ 次回にそれを語ろう Suy u-nukar-an ro !

Commented by kaotti-1 at 2023-01-28 23:17
こんばんは。
いつもイイネを有難うございます。
atteruy21さんのお話を伺って
言葉や風習、沖縄と共通しているんじゃ?と思うことあります。
風葬の件もそうですね。
同じ沖縄でも島によって様々でした。
これからもアイヌのお話、読ませて頂きたいと思います。
宜しくお願い致します(⁠•⁠‿⁠•⁠)




Commented by atteruy21 at 2023-01-29 23:05
コメントをお寄せいただき有り難うございます。日本列島に住んだ人々は、みんな縄文人の末裔だと私は思っているのです。みんな兄弟なんだと。
 今後とも一生懸命このブログを書くつもりなので、応援して頂けると本当に励みになります。
  なにしろ素人の考えることですから、間違いや思い違いは多々あるとおもいます。この辺は変じゃないか! などとお叱りのコメントも頂ければ本当に参考になります。もう一度、コメント有り難う。 アテルイ21より
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by atteruy21 | 2023-01-27 14:17 | Trackback | Comments(2)