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アイヌ語雑感 ー 7

大好きな人たちーその7 (通巻第2007号)
🔺 知里幸惠の美しい詩を紹介しよう。...と言っても幸惠さんに詩集なんて有ったっけ ?
...そう思われるかも知れない。だが、それが有るのだ。神謡(ユカラ)と言うのは、それ自体が一編の詩である。
 知里幸惠の【アイヌ神謡集】~その序の文を味わって頂きたい。

▽ アイヌ神謡集 序 
...その昔、この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました。天真爛漫な稚児(ちご)のように、美しい大自然に抱擁されてのんびりと楽しく生活していた彼等は、真に自然の寵児(ちょうじ)、なんという幸福な人たちであったでしょう。
 🔵 冬の陸(くが)には林野を覆う深雪を蹴って、天地を凍らす寒気を物ともせず、山また山を踏み越えて熊を狩り、夏の海には涼風泳ぐみどりの波、白い鴎の歌を友に木の葉のような小舟を浮かべて、ひねもす魚を漁(すなど)り、花咲く春は軟らかな陽の光を浴びて、永久に囀(さえ)ずる小鳥と共に歌い暮らして蕗(ふき)とり蓬(よもぎ)摘み、紅葉の秋は野分(のわき)に穂揃うすすきを分けて、宵まで鮭とる篝(かがり)も消え、谷間に友呼ぶ鹿の音(ね)を外に、円(まど)かな月に夢を結ぶ。

▼ 平和の境は失われ...
...嗚呼(ああ)なんという楽しい生活でしょう。平和の境(きょう)、それも今は昔、夢は破れて幾十年、この地は急速な変転をなし、山野は村に、村は町にと次第々々に開けてゆく。
 ⭕ 太古ながらの自然の姿もいつの間にか影薄れて、野辺に山辺に嬉々として暮らしていた多くの民の行方も亦(また)いずこ。
僅かに残る私たち同族は、進み行く世の様にただ驚きの眼をみはるばかり。しかもその目からは一挙一動宗教的観念に支配されていた昔の人の美しい魂の輝きは失われて、不安に充(み)ち不平に燃え、鈍りくらんで行く手も見分かず、よその御慈悲にすがらねばならぬ、浅ましい姿。

◎ 滅び行くもの
...おお亡びゆくもの....それは今の私たちの名。なんという悲しい名前を私たちは持っているのでしょう。
 🔷 その昔、幸福な私たちの先祖は、自分のこの郷土が末にこうした惨めな有り様に変わろうなどとは、露ほども想像しえなかったのでありましょう。

☆ 知里幸惠の決意
...時は絶えず流れる、世は限りなく進展してゆく。激しい競争場裡に敗残の醜(しゅう)をさらしている今の私たちの中からも、いつかは二人、三人でも強いものが出てきたら...以下、次回に
    ( 次回につづく ・ Suy u-nukar-an ro !

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by atteruy21 | 2023-03-05 11:15 | Trackback | Comments(0)