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アイヌ語雑感 ー 13

(2)アイヌ語の周辺ーその5 (通巻第2013号)
 “ mosir (モシリ)”というアイヌ語を、老練なアイヌ語話者の萱野さんは「静かな大地」だと言い、一方、現代アイヌ語学の第一人者と言われる中川裕先生は「人間の世界」や「島」といった限定された空間を表すと定義される。いったい、素人はどっちを信じたら良いのか。表す意味が正反対に見えるほど乖離(かいり)している。
 🔵 そこで、素人の立場から素人に分かり易い説明をして、二つの説の間を取り持つ架け橋( = 梯)を渡そうと思い立った。
...果たして、大工の鬼六の渡した橋のように立派な橋が架かるかどうか、とくと御覧(ごろう)じろと言う訳である。

▽ 「モシリ」には「島」の意もある ‼
...その「島」を国語辞典で見てみると...
 しま【島】①周囲が水で囲まれた陸地で、大陸以外のもの。 ②ある仲間内(なかまうち)・縄張りなど、他から区別されてまとまったもの。 ③庭園にある池の中の築山。また、池・築山のある庭園。
 🔺 「島」と言うのは、全体から区別されて生じた空間の観念を核にした概念だと言うことが判る。
 ヤクザ映画のこんな台詞(せりふ)が mosir の意味を教えてくれるかも知れない。
 「あの野郎、ウチの組のシマを散々(さんざん)荒らしやがって、このまま生かしちゃあ置けませんぜ ! 」

▼ だから、para 「障害物の無い」と mosir 「区切られ閉ざされた」の観念は両立しない ❗
...ヤクザ者の言う「島(シマ)」とアイヌ語の mosir を同列に扱うのは、さすがに気が退(ひ)ける。だが、語源的には繋がっている言葉なのだ。
 ⭕ 言葉の感覚に優れた方は、アイヌ語の“ para (パラ)”と言う音に何かを感じ取られたかも知れない。
 アイヌ語 para =「障害物の無い」、「区切りの無い」、「間仕切りが無く広い」
 日本語  はら 「腹(はら)」、「原(はら)」
 「原」も「腹」も、いずれも障害物の無い状態を表す。野原や草原は先が見通せる平らな場所を言うし、肉体の「腹」も余計な出っ張りの無いスベスベとした部分を言う。これは二つの言語の偶然の一致( coincidence )ではなく、語呂合わせでもない。

◎ そこで登場...韓国語のパラム (消去法を終えた後に生き残った言葉 ❓
...あれは道理に合わない、こちらは発音が違う。いろいろ検討した後に韓国語のパラムが残ったのか。
 実は、まだアイヌ語で“ par ”と言う音を含む言葉が残って居たのだ。その語彙がヒントになって韓国語のパラム(風)と言う言葉に辿り着いたと言うのが実相である。
 🔶 アイヌ語 「parpok パラポク」【位置名詞】風下(かざしも) 《反対語》マウカ mawka 。
    (次回につづく ・ Suy u-nukar-an ro ! )

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by atteruy21 | 2023-03-11 14:19 | Trackback | Comments(0)