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アイヌ語雑感 ー 32

(2)アイヌ語の周辺ーその24 (通巻第2032号)
 壇ノ浦の海戦に於ける義経の戦術の意味が分かった所で、愈々(いよいよ)軍船「ロクンデウ(=ロクンテ)」の名称の出来上がり方の解説に進もう。
 🔺 義経の新戦術の噺が「ロクンテ」と言う言葉の解説の前にナゼ必要だったか、貴方にも納得が行く筈である。

▽ Rokuntep 「ロクンテプ」の語の構成
...結論から先に言うと、それは rok-te-p 「(漕ぎ手を船倉に)座らせた者(=船)」と言う意味で作られた言葉である。
 🔷 ユカラ(英雄叙事詩)に出てくる“ Rokundew ”と言う語句は、私の考える所では、比較的新しく近世にせいりつした言葉だと私は考える。ストレートに言うと、文禄慶長の役の時代の韓国の英雄、李舜臣(イ・スンシン)将軍の亀甲船がモデルになっているのではないかと思うのだ。
勿論、阿倍比羅夫の時代の倭人の船である可能性を排除しないものである事は言い添えて置こう。

▼ 帆船は軍艦(戦船)には不向き ❗
...阿倍比羅夫の軍船でも、豊臣時代の和船でも船の基本構造は丸木舟( dug-out )・ canoe であったと考えられる。どんなに大型化しても、船の性格はこの基本構造によって制約されるのである。
 🔴 丸底の和船は、その構造上、例えば横風に弱く、転覆しやすいし小回りも利かないのである。
 ...西洋の艦船だと、近年はキール( keel =竜骨)の構造を持つのが普通だし、バラスト( ballast =安定器 )を内包するから、転覆しにくいのは勿論、航路も安定するよう工夫されているのはご存知の通り。

◎ 古代の軍船の姿は ❓
...年配の方だと、映画などでガレー船の様子を御覧になったことが有るだろう。ギリシャ・ローマ時代の海戦では、大勢の奴隷が鎖で船底に繋がれ、その奴隷たちが声を合わせて大きな船の櫂を漕ぐのだ。船の外側には何十本もの木の櫂(かい)が出され、それが指揮を執る兵士の命令の下、太鼓の音に合わせて一斉に波を切るのだ。
 🔵 奴隷たちが閉じ込められているのは、陽の射さない船底であって、陽も射さない代わりに矢が飛んでくる危険も無い。

☆ 亀甲船も大勢の漕ぎ手が船底で操船した ❓
...李舜臣将軍の亀甲船が、矢玉の届かない亀の甲羅のような覆いで護られていたのは誰も否定出来ない。だが、古い時代の越の国主、阿倍比羅夫の軍船もこれと似た構造を持っていたと言うことも、強(あなが)ち否定しきれないのである。
 🌀 問題の阿倍比羅夫は、白村江の戦いで唐と新羅(しらぎ)の連合軍と闘っており、そこで亀甲船と似たような船に遭遇した可能性が有るのである。  ( 次回につづく ・ Suy u-nukar-an ro ! )

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by atteruy21 | 2023-03-31 11:53 | Trackback | Comments(0)