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アイヌ語雑感 ー 89

(2)アイヌ語の周辺ーその81 (通巻第2089号)
 【きも】という言葉に拘る ~ 【きも】は心臓を指すのか、それとも肝臓のことか ❓
...少し前のNHKの朝の連続テレビ小説に「ちむどんどん」というドラマが放映された。その題名の《ちむどんどん》の「ちむ」と言う言葉は、「肝(きも)」を表す事は間違いが無いだろう。
 🔺 沖縄方言では、「きも」は音韻変化して「ちむ」になることは、現在では多くの人が知っている。
 つまり、「ちむどんどん」を本土風に発音すれば、【きもドンドン】になる。

▽ 沖縄方言《ちむどんどん》はどんな意味 ❓
...この表現の意味する所は、良いことが有って「胸がワクワクする」、「胸がドキドキする」と言う気分を表すのだと言う。
 🔷 問題は、この【ちむ】=「きも」が何を指しているのかと言うことである。
 私は、たぶん「ちむ」が「ドンドンする」と言うのだから、素直に「心臓がドキドキする」のだろうと考えたのだが、事はそう簡単には収まらないのだ。

▼ 沖縄料理の豚肉の部位の呼称から【ちむ】の原意を探る
...豚肉は、沖縄の人たちの大好物で、食べ残すところが無いほどあらゆる部位を食用に利用する。そのメニューには勿論、この「ちむ」がある。
 ⭕ ちむ ~ 現代の沖縄の人たちの意識では、豚肉の部位の一覧には「ちむ(肝臓)」として表示されている。
 だが、話はこれで終わらず、別の箇所では【ちむ】=心臓と表記される事も有るから、注意が必要なのだ。アイヌ語や大和言葉と同様、「ちむ」には肝臓と心臓の両方の意味が在るようなのだ。

◎ 民話に見る【きも】の古い意味 ❗ 目を広く世界に向けて
...猿の生き肝(いきぎも)を取る噺
 🔵 日本の民話に猿の生き肝を取る噺がある。
 簡単にストーリーを紹介すると... 昔、竜宮城の乙姫様が重い病気になり、家来の魚たちが相談して姫の病を治すには猿の生き肝を煎じて姫様に飲ますしかない、と言う噺になった。
 そこで早速使いの亀に命じて、浜に棲む猿を騙して竜宮へ連れてきて、猿の生き肝を取ってしまおうと言う事になった。
...このあと、竜宮城の門番の海月(クラゲ)が、猿を竜宮に招待した理由を当の猿に漏らしてしまい、猿は浜辺に生き肝を忘れてきてしまったと嘘を言い、難を逃れたと言う展開になるのだが、その罰でクラゲは体の骨を抜かれ現在の姿になった。

☆ 世界の民話 猿の生き肝は心臓とも肝臓とも両方の話が混在する ❗ 続きは次回に。 ( Suy u-nukar-an ro ! )

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by atteruy21 | 2023-05-29 13:34 | Trackback | Comments(0)