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縄文語のかけらーその197 (通巻第882号)
 大切な家族の為に身(み)を粉(こ)にして働いた手児名。その名義の秘密に、あと一歩の所まで迫った。「働く」と言う観念が、手児名と言う名の命名の一番大切な部分だと、そう私は信じている。

▽ 古代の大和やアイヌの社会では、神や動物そして人の名さえ、命名の仕方は、物や人の在り方の複数の側面、幾つかの特徴を捉えたものであったのが知られている。例えば狐は、スマリともチロンヌプとも呼ばれたのはご存知のとおりである。
...「テコナ」と言う名も、音(おん)は一つでも、それには少なくとも二つの意味が込められていたのだ。最初の意味は、もちろん「可愛らしい娘」の意味である。だが、それに止(とど)まらず「働き者の...」の義が、より深い、手児名の人となりを表す誉め言葉として加わったのだ。

▼ 厳密な考証を心掛ける立場の私としては、「コナ」と言う音の分析にもう一歩踏み込んでみたい。「働き者」のより鮮明な像が浮かんで来るかも知れないからである。
...日本語の「身を粉にして(働く)」という言い回しや、アイヌ語で働くを意味する「 monrayke 手を殺す ? 」という語の表現に引っ張られて、働くと言う言葉「 tek-kone 」の構成を、「手が(或いは身が)・粉々になる」と無理にコジツケ的に解釈をして、体を壊してまでも身を犠牲にしてまでも他人(ひと)の為に尽くすと考えた訳である。すべて憧(あこが)れの手児名を愛する余りの私の心に生じた迷妄の為せる業(わざ)である。

◎ 美女の呪縛を脱し、厳密な語義の追究を続けよう。
...「コナ」は、現代語で言う「こな・す」の語義のうちの次の意味に中心が在りそうだ。
 ①物事を(うまく・効率的に)処理する。
 ②習得して自在に扱う。要領をおぼえて自由に運用する。

☆ 身の「こなし」という慣用表現がある。
...【身のこなし】...体のさばき方。立居振舞。物腰(ものごし)。
 特にこの【身のこなし】は、体のうまい使い方を意味するもので、自分の体を上手く使いきると言うことのようだ。
「手児名」と言うのは、「手を効率的に使う人」、「器用な人」、名人・名手を意味したのだろう。

★ 思えば、大和言葉の「身を粉にする」の表現も、体を使いきって持てる力をフルに発揮するの意味であろう。体を粉砕すると言う意味では勿論ない。ひた向きに生きた手児名のイメージにピッタリでないか。次回で手児名の噺を終えよう。
   (次回につづく)

by atteruy21 | 2020-02-04 11:44 | Trackback | Comments(0)