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縄文語のかけらーその201 (通巻第886号)
 前に縄文海進の噺をした。それが豊かな動植物相を形成し、縄文人の生活はを大きく変えたのだと言う。我々現代の日本人は、縄文人と言うのは、竪穴住居に住み粗末な衣服を着て乏しい食生活を送っていたのだと、根拠もなく何となくそんなを想像し勝ちだが、実は、縄文人は食生活にしても決して貧しいものではなく、様々な種類の動植物相に支えられた意外に豊かな食卓を囲んでいたらしいのである。

▽ もう、お忘れの方も有ろう。縄文語のかけらーその160《縄文人の生活と文化》「豊かな日本の森林」を再掲しよう。
...日本では南北に細長く延びた列島であるため、植物の多くは寒冷な気候を避けて南に移動し、気候の回復とともに再び北上することが出来た。
 種の数が多く、階層構造が発達している日本の森林は、結果としてその内部における食物連鎖が複雑なものとなり、植物だけでなく、それを食用とする昆虫や動物のような第二次、第三次の消費者を含めた森林全体の生物生産量を高めることになった。
 このような多くの生命を包み込んで成立する森林こそが、縄文人たちの豊かな生活を支える基盤だったのである。

▼ 縄文海進の名残の豊饒の海と山は、列島の各地に「さつま=豊饒の入江」を残した。薩摩という地名も、独り鹿児島県のそれだけでなく、例えば滋賀県の琵琶湖にも薩摩という地名がある。
...獣や魚の豊猟(漁)を海の幸、山の幸と古人は言い慣らした。それでは、その幸(さち)という言葉の、詳しい解析を試みよう。それは、意外な意味を含むものである。

◎ さち...【幸】(名詞) ①漁や狩りで獲物の多いこと。また、その獲物。 ②獲物を取る道具。弓矢や釣り針など。
 ③幸福。さいわい。
...「さち」という言葉は、獲物や豊漁、さらに生産用具までの意味を表し、加えて幸せな暮らしの意味まで持つというスーパーマンなのだ。これが、「さつ」という語も導く訳である。

☆ 古語辞典の「さち」という項目の隣に、●発展【「さち」の語源】という囲み記事がある。
...一説によると、「さち」或いは「さつ」とは、それが付くと獲物を得る力を生ずると信じられた霊力であって、霊力の宿った弓矢のことを「さつ弓」「さつ矢」と言い、霊力を身につけた者が「山さち彦」「海さち彦」に他ならないと言う。「さち」「さつ」は、具体的なものを指す言葉から、その結果としてもたらされる獲物という意味を経過して、更にはそれを抽象化した幸福・さいわいと言った意味を派生させて行ったと考えられる。...としている。

★ そこで改めて薩摩(さつ・ま=豊饒の入江)の登場である。   (次回につづく)

by atteruy21 | 2020-02-08 21:08 | Trackback(3) | Comments(0)