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縄文語のかけらーその203 (通巻第888号)
 薩摩の「さつ」のシチメンドーな音韻分析に入る前に、「さつ」=「矢」であると言うことを示す萬葉の歌をご覧いただこう。
 * 日本古典文学大系「萬葉集第一巻」

...舎人娘子(とねり・をとめ)の従駕(おほみとも)にして作る歌 (萬葉・巻一・六一)
▽ 大夫(ますらを)の 得物矢(さつや)手挿(たはさ)み 立ち向かひ 射る圓方(まとかた)は 見るに清潔(さや)けし
...《訳註》
 ◻得物矢...猟に用いる矢。サツは矢。朝鮮語 sal (矢)と同源。転じて獲物をいう。
 ◻射る圓方...イルまでが圓方を導く序(じょ=ある言葉を導きだす為の前置きになる語句)。圓(まど)は的に通じる。
  圓方は三重県松坂市東黒部(地名)。

▼ 歌の大意
...圓方の地は、見れば清々(すがすが)しく心地がよい。

◎ 私の補註
...勇ましい若者が、矢を手挟(たばさ)んで的に向かって立つ姿のように、そのように清々しい印象を圓方の地は与えることだ。

☆ 「さつ」は、朝鮮語の sal (サル・矢)と同源だと、日本古典文学大系の編者グループは主張する。大和言葉に取り入れられた段階で「 sal 」から「サツ」への音韻転換が為されたと考えるようだ。その音韻転換が大和言葉と朝鮮語(韓国語)の間では照応関係を持つかの追究は改めて行うこととして、そもそも朝鮮語の言葉が、なぜ唐突に大和言葉の中に顔を出すのか、その必然性が先ず問題になるだろう。
...このブログでは、アイヌ語や沖縄方言(琉球語 ?)が、大和言葉の語源に繋がるものとして頻繁に登場する。それは、これらの言語が「縄文語」と言う共通の祖先を持つ、縄文語と言うのは日本語やアイヌ語の共通の祖先=祖語であると言う大コンセプトに立つものだからであり、そう言う意味で必然の結果である訳である。

★ 一方、朝鮮語(今後はハングルと呼ぶ事にしたい)の方は、その一部が古い大和言葉に流入することが有ったとしても、それは一時的例外的で、縄文語を話したグループの日常で話されたものではなく一種の外来語であったもののようである。
...次回以降で、なぜ「 sal ・矢 」と言うハングルが大和言葉に紛れ込んだのか、その謎解きをしよう。実は、前にもこの噺はご紹介をしたのだが、憶えておられるだろうか。
   (次回につづく)

by atteruy21 | 2020-02-10 11:44 | Trackback | Comments(0)