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縄文語のかけらーその204 (通巻第889号)
 ハングルの sal (矢)と言う言葉が、なぜ唐突に大和言葉に登場するのか。勿論、語尾を少し変化させて「さつ( = 矢)」という言葉となって立ち現れるのだが、この関係を理解する上で参考にして頂けると思うものが有るので、再掲したい。

▽ ...「アイヌ語と日本語は他人である !」ってホントなの ? (その4)...
 隣接する異言語の間で語彙の借用関係が生じたとき、どちらがオリジナルで、どちらが借り主なのかが問題となる。借用関係は隣接する国家や民族の力関係を始め、様々な要因が重層的に絡み合って複雑な様相を呈することが多い。
 通常は、力が強く優越する集団の言語を力の弱いグループが借用する事になるのだが、事はそう単純には進まない。一つの例が以下のような場合である。

▼ 古代の日本列島では、元々この列島に住んでいた集団に対し、後から主に朝鮮(韓)半島南部から渡来して、原住の人々を支配するに至った集団があったと考えられている。
...こうした場合、圧倒的に少数者である新しい支配者の集団は、数において勝る被支配者の集団の、その言語や文化及び慣習を取り入れざるを得ず、語彙の取り入れや借用は、劣位者が優位者のそれを取り入れるという一般則が、常に通用するとは限らない状況を生む訳(わけ)である。

◎ こうした場合には、多数者(劣位者)集団の言語は「基層言語」となって、日常生活用語群を形成し、また、宗教用語や仕来たりを表す言葉も多くの場合、多数派集団のものが残される。もちろん、優越者集団の、その優越する所以(ゆえん=理由・根拠)の部分は、新しく形成された集団の指導理念、思想及び用語として集団全体に君臨する事になるのは言うまでもない。
...少数の優越集団の語彙が残る例としては、例えば高い生産性を支えた稲作に関する用語。圧倒的な軍事力を支えた製鉄などの技術用語である。(以下、省略)

☆ 隣接する朝鮮半島の民族のもたらした進んだ技術や思想、その影響は日本列島の先住の人々の生活スタイルを変える所までの力を持っていたのである。それは例えば漁労の在り方を変えた。縄文から弥生へ、さらに大和国家の成立へと歴史は進んで行く。その社会の発展に伴い、言語も大いなる変貌を遂げる訳である。
...次回以降、私の以前の何回かの論考を振り返っていただき、漁労のスタイルの変化と大和言葉の変化が相補って進んできたと言う事に改めて驚き、眼を瞠(みは)って頂きたい。

★ 地方によって若干の差異が有るのだが、日本列島の漁労の姿は、潜水して魚などを手掴(づか)みするものだったらしい。
それは、魏書東夷伝倭人の条に記載されていた事は前にも紹介した。    (次回につづく)

by atteruy21 | 2020-02-11 11:16 | Trackback | Comments(0)