人気ブログランキング |

縄文語のかけらーその206 (通巻第891号)
 あさる【漁る】と言う語の追究を続けよう。...生産活動に見る縄文と弥生ー237(続き)
...「漁(あさ)る」という言葉は、古い由緒ある言葉だと私は言った。なぜ縄文の昔にまで遡るかも知れないなどと根拠も無しに言えるのか。それが次の課題、追究の対象になるだろう。

▽ それは、「あさる」という言葉が、人間の手と足だけを使って海辺で食糧を手に入れる様子だけを指していると見られるからである。最も古い時代の食糧の採集活動の姿を暗示するからである。
...もう一方の「いさる・ゐざる」の方は、船による灯火を用いての漁だとか、少なくとも、釣糸や釣り針、投げ網などの漁具を用いた、それはもう採集活動の範疇を超えた漁労の匂いを身辺に漂わせているのである。

▼ 生産活動に見る縄文と弥生ー238(通巻第589号) (再掲)
 漁(あさ)るという言葉は、縄文の昔に遡る由緒ある言葉ではないかと、そう私は考えている。それは、「いそ」という言葉との対比の上で、より正確に表現すると、「漁(あさ)る」という言葉の表す様子と「いさる」という語彙が用いられる場合の、漁労の形態がかなり異なっているという事実から導かれた結論なのである。

◎ 古語辞典でご覧いただいた「漁(あさ)る」という言葉は、動物が餌を探す事を始め、仮に、人がそれを行う場合にあっても、自分の体だけを使って魚介や海藻類の採集を指すものであった。船の利用は言うに及ばず、釣り針や釣糸、網を使っての一般的に言う「漁猟(ぎょりょう)」の観念を含むものではなかったのである。
...もう一方の「漁(いさ)る」の方は、上記の船やら釣り針やら投げ網などの、いわゆる「文明の利器」を用いた集団的な漁猟を意味するのである。ここに時の流れ、漁労の形態の大きな変化を私は感じ取る訳である。

☆ 「漁る」は、旧(ふる)くは「あさる」と言い「ゐざる」とも言った。磯(海辺の岩場)などに座り込み、動かずに魚介や海藻を採ったからである。これらの言葉がどんな理由で「漁(いさ)る」と語形・発音を変えたのか。その変化の謂われを突き止めるのが次の課題になるだろう。
...そこで登場するのがアイヌ語の「 iso 」という語彙である。この「 iso 」という言葉は、もう皆さん既にお察しのとおり、日本語の「磯(いそ)」という語に繋がるものである。

★ その事を踏まえて、前にも紹介したアイヌの語り部・知里幸惠(ちり・ゆきえ)さんの【アイヌ神謡集】の一部をご覧に入れ、
語の発音の変化を考える上での参考にして頂きたい。 ...以下、次回に。
   (次回につづく)

by atteruy21 | 2020-02-13 10:40 | Trackback | Comments(0)